「海外で暮らしてみたい」「海外で働いてみたい」と考えたとき、まず「どの国に住むか」を調べる方は多いのではないでしょうか。もちろん、移住先を選ぶことは重要です。
一方で、長期的な海外生活を考えるのであれば、国選びだけではなく、仕事、ビザや生活環境など複数の軸から考えることも大切です。
私自身、これまでオーストラリアで約4年間の留学・大学進学、シンガポールで約3年間の就労、そしてベトナム・ハノイで1年半の就労を経験してきました。
最初から明確な海外移住のプランを持っていたわけではありません。
10代の頃は「英語を身につけたい」「海外に長く住んでみたい」という、比較的シンプルな動機から海外生活を始めました。
しかし、実際に海外で生活し、仕事をする中で、長期的に暮らすためには「海外に住みたい」という気持ちだけではなく、さまざまな条件を考える必要があることに気づきました。
今回は、これまでの経験を振り返りながら、海外移住を考える際に意識しておきたい「複数の軸」を持つことについて紹介します。

1. 海外に住みたいは最初の一歩として十分
私が海外に興味を持つようになったきっかけは、高校卒業後に参加したフィリピン・セブ島での短期留学でした。
当時は、長期的なキャリアや海外移住について具体的に考えていたわけではありません。
しかし、初めて海外で生活したことで、日本とは異なる環境に身を置くことへの関心が強くなりました。
その半年後にはオーストラリアへの長期留学を検討するようになり、シドニーでの語学留学を経て大学へ進学。結果として、約4年間をオーストラリアで過ごすことになりました。
振り返ってみると、最初からすべてを計画していたわけではありません。
実際に住んでみなければ分からないことも多く、現地で生活する中で初めて「自分は何をしたいのか」「どのような環境が合っているのか」が見えてくることもあります。
そのため、特に若いうちの留学や短期的な海外生活であれば、まずは現地に行ってみることから始めるのも一つの方法だと思います。
ただし、将来的な定住や長期的な海外生活を考えるのであれば、少しずつ別の視点も必要になってきます。
2. 仕事と同じくらい重要なビザを取るという視点
海外移住が日本国内での転職と大きく異なる点の一つが、ビザや滞在資格の存在です。海外で働く場合、多くの国では就労ビザなどの滞在資格が必要になります。
さらに、ビザの要件は国によって異なるだけでなく、政策や経済状況などによって変更されることもあります。
また、就労ビザが特定の雇用主や職種と紐づいている場合、転職する際に新たなビザの手続きが必要になるケースもあります。
つまり、海外移住を考える際には、海外で働きたいという希望だけでなく、その国でどのように仕事を続けていくのかという視点も重要になります。
シンガポールの就労ビザを例に考える
私が約3年間働いたシンガポールでは、専門職などを対象とした就労ビザ「Employment Pass(EP)」があります。
EPの取得には一定の給与基準を満たすことに加え、現在は「COMPASS(Complementarity Assessment Framework)」による審査も行われています。COMPASSでは、給与や資格といった個人の要素だけでなく、企業側の人材構成なども評価対象となります。
私がシンガポールへ移住した2020年当初と比べても、外国人材を取り巻く環境はかなり変化しています。
このように、海外移住を考える際には、その国で働き続けられるかも考えておくことが重要です。
※ビザの条件は変更される可能性があるため、実際に移住を検討する際は、各国政府などの最新情報を確認する必要があります。

3. 仕事と生活環境のバランスを考える
海外移住では、仕事やキャリアだけを重視するのも注意が必要です。
海外で良い仕事を見つけられたとしても、生活環境が自分に合わなければ、長く住み続けることは難しくなります。生活環境が気に入っていても、仕事が安定しなければ海外生活を維持することが難しくなるでしょう。
私自身、オーストラリア、シンガポール、ベトナムと異なる国で生活してきましたが、国によって働き方、物価、インフラ、住環境、人間関係などは大きく異なります。
移住先を検討する際には、例えば次のような軸から、自分にとって何を重視したいのか整理しておくとよいでしょう。
- 仕事・キャリア
- ビザ・滞在資格
- 言語
- 生活環境
- 文化的背景
すべての条件を満たす国を探すのではなく、自分にとって何が重要なのか、優先順位をつけることが大切です。
4. 英語ができるだけでは長期移住につながらない
海外移住を考えると、「まず英語を身につけなければ」と考える方も多いと思います。
もちろん、英語や現地語を身につけることは、海外で生活するうえで大きな強みになります。
しかし、言語ができることだけでは、長期的な海外生活が実現できるとは限りません。
例えば、英語を話せても、現地で求められる専門性やスキルがなければ、仕事を見つけたり、キャリアを継続したりすることは簡単ではありません。
逆に専門的なスキルがあっても、現地の文化や生活環境に適応できなければ、長く暮らすことに負担を感じる可能性があります。
海外移住では、自分は何ができるかだけではなく、その国でどのように生活を維持していくかも考えることが重要です。
5. 実体験を通じて自分の軸をアップデートする
私自身の海外経験を振り返ると、最初から明確な目的があったわけではありません。
最初は「英語を学びたい」「海外に住んでみたい」という漠然とした関心から始まりました。
その後、オーストラリアでの留学・大学生活、シンガポールでの就労、ベトナムでの生活を経験する中で、海外への関心は少しずつ変化していきました。
現在では、海外での生活経験を活かして、海外市場や異文化コミュニケーション、マーケティングなどへの関心がより強くなっています。
この経験から感じるのは、最初からすべてを決めておく必要はないものの、実際に経験しながら自分の判断軸をアップデートしていくことが大切だということです。
海外移住について調べている段階では、何が自分にとって重要なのか分からないこともあります。
だからこそ、短期滞在や旅行、留学などを通じて実際の環境を知ることも、一つの判断材料になります。
まとめ
海外移住を考えるとき、「どの国が住みやすいか」「どこがおすすめか」といった情報に目が向きがちです。
しかし、長期的に海外で暮らすのであれば、国選びだけではなく、仕事・ビザ・言語・生活環境・文化など、複数の軸から考えることが大切です。
もちろん、すべての条件を事前に完璧に把握することはできません。
私自身も、最初から明確な海外移住のプランを持っていたわけではなく、実際に海外で生活する中で、自分の興味や価値観、将来について考えるようになりました。
海外移住を検討する際は、まず「自分はなぜ海外に住みたいのか」を考えてみる。
そして、そこから仕事、ビザ、言語、生活環境など、自分にとって必要な条件を一つずつ整理していく。
そうすることで、自分がどのような海外生活を送りたいのかが少しずつ見えてくるのではないでしょうか。
Compass Storyでは、これまでの海外での生活・就労経験をもとに、海外市場や異文化コミュニケーション、海外ビジネスに関する情報を発信しています。
海外でのキャリアや生活、海外市場に関心のある方にとって、何か新しい視点を得るきっかけになれば幸いです。

