知っておきたいベトナムの現地事情4選

ベトナムは、日本企業の進出先として注目を集めている市場の一つです。製造業をはじめ、IT、小売、サービス業など幅広い業界でビジネスが拡大しており、近年ではデジタルマーケティングや越境ECのターゲット市場としても関心が高まっています。

一方で、日本国内で得られるベトナムの情報はまだ限られており、実際の生活やマーケットの環境はどうなっているのかを具体的に知る機会は多くありません。

私自身、オーストラリアで約4年間の留学、シンガポールで約3年間の就労を経て、ベトナム・ハノイでも約1年半にわたり仕事をしてきました。

今回は、その経験をもとに、現地で生活・就労して初めて実感した「ベトナムのリアル」を4つの視点からご紹介します。

1. ベトナム国内の日本語学習者の多さ

ベトナムの公用語はベトナム語ですが、都市部を中心に英語教育も広がっています。そして、意外と知られていないのが、日本語を学ぶ人の多さです。

国際交流基金の調査によると、ベトナム国内の日本語学習者数は約17万人に達しており、世界有数の日本語教育国となっています。大学で日本語を専攻する学生も多く、現地では日本語でコミュニケーションが取れるベトナム人に出会う機会も少なくありません。

その背景には、日系企業の進出や、日本への留学・就労を目指す若者の増加があります。

実際、在留外国人数においては、以下のようにベトナムは中国に次ぐ第2位となっており、両国の人的交流は年々活発になっています。

令和7年末現在における在留外国人数について

1位 中国: 93万428人
2位 ベトナム:68万1100人
3位 韓国:40万7341人

引用:出入国在留管理局「令和7年末現在における在留外国人数について」

日本や日本企業に親しみを持つ人材が多いことは、ベトナム市場へ進出する企業にとって大きな強みといえるでしょう。

2. 空気汚染とEVシフト

急速な経済成長の一方で、ベトナムが抱える社会課題の一つが空気汚染です。

特に首都ハノイ市では、特に毎年10月頃から3月頃にかけて空気汚染が発生しやすい傾向にあります。主な要因として、二輪バイクにおける交通量の増加や工場からの排出ガスが挙げられます。

ただし、この状況は地域によって異なります。ホーチミン市は海に近く比較的空気が循環しやすかったりします。

こうした課題に対応するため、ベトナムではEV(電気自動車・電動バイク)の普及が急速に進められています。街中でも電動バイクやEVタクシーを見かける機会が増え、都市開発と並行して環境対策も着実に進んでいます。

3. モバイルファーストとキャッシュレス社会の浸透

ベトナムでは、キャッシュレス決済が非常に身近な存在となっています。実際に生活してみると、日本以上にデジタル決済が浸透していると感じる場面も少なくありません。

カフェやレストランだけでなく、コンビニや個人経営の店舗でもQRコード決済が一般的です。

主な決済サービスには、

  • MoMo
  • ZaloPay
  • VNPay
  • ShopeePay

などがあり、QRコードを読み取るだけで簡単に支払いが完了します。

スマートフォン一台で日常生活の多くを完結できる環境が整っており、特に若い世代ではデジタルサービスへの抵抗感がほとんどありません。

そのため、日本企業がベトナム市場へ参入する際は、モバイルファーストを前提としたWebサイトやSNS施策、デジタルマーケティングの設計が重要になります。

4. 都市部で進むスマートシティ開発

「ベトナム」と聞くと、のどかな農村風景を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし都市部では、想像以上のスピードで近代化が進んでいます。

代表的なのが、ベトナム最大級の企業グループ「ビングループ」が開発する「Vinhomes(ビンホームズ)」です。

住宅だけでなく、

  • ショッピングモール
  • 学校
  • 病院

などを一体的に整備し、一つの街として機能する大規模な都市開発が進められています。

近年では、ハノイやホーチミンだけでなく地方都市でも同様の開発が進んでおり、「発展途上国」という従来のイメージとは異なる街並みが広がりつつあります。

ベトナム市場を理解するためには、最新の都市開発や生活環境の変化にも目を向けることが大切です。

まとめ

ベトナムは、高い経済成長に加え、日本との結び付きも年々深まっている市場です。日本語学習者の多さやキャッシュレス化、都市開発など、日本にいるだけでは見えにくい変化が次々と起きています。

一方で、地域ごとの文化や生活環境、消費者の価値観には違いがあり、統計データだけでは市場の実態を十分に把握することはできません。

統計などの数字だけでなく、現地の文化や生活者の視点を理解したうえでマーケティングや情報発信を行うことが重要です。

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上田一輝

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